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2016/04/25

マンフロットをアルカスイス互換化 その2 ~ ビデオ雲台 設計編 ~

アルカスイス互換大好きaslanです。

私はこれまでいくつかの雲台、三脚をアルカスイス互換化してきましたが、本日は初めて
ビデオ雲台(マンフロット MVH502AH)のアルカスイス互換化をご紹介したいと思います。

自由雲台をアルカスイス互換化する場合、雲台とクランプの接合部に手を加える必要が
あることもありますが、基本的にはクランプをアルカスイス互換のものと交換するだけです。
自由雲台とクランプの接合はそれなりに規格化されているため交換が出来るのです。

しかし、ビデオ雲台のクランプ交換は簡単ではありません。
なぜなら、ビデオ雲台とそのクランプの接合に規格なんてものが存在しないからです。
ビデオ雲台をアルカスイス互換化したというブログ記事等を見かけたことが私はありません。
「クランプ交換」ではなく「改造」にはなってしまうのですが、ビデオ雲台の
アルカスイス互換化を検討されている方の参考になればと思います。






マンフロットのビデオ雲台「MVH502AH」を選んだ理由

さて、気づけばマンフロットの三脚を私は多く所有しています。
マンフロットの雲台は1つも使っていませんが、脚は小型安価なものを5本くらい所有
しています。マンフロットは、

「価格、使い勝手、剛性、デザイン、サポートが絶妙にバランスしているブランド」

だと私は思います。
そんなマンフロット唯一の欠点は、独自規格プレート含む独自規格路線であることです。

ビデオ雲台に話を戻すと、マンフロットのビデオ雲台はアルカスイス互換ではありません。
ちなみにですが、例えば「Benro S2P/S4P」はアルカスイス互換のビデオ雲台です。
RRSもアルカスイス互換のビデオ雲台を出してはいますが、1,800ドルくらいします。
アルカスイス互換のビデオ雲台を使いたい場合、

・ビデオ雲台のプレートにアルカスイス互換クランプを取り付ける(クランプ重ね付け)
・数少ないアルカスイス互換ビデオ雲台の中から選ぶ

のどちらかが一般的だと思います。
そのどちらも嫌だと言う場合、私がしたように「改造」という選択肢があるわけです。
私は価格、使い勝手、剛性、デザイン、サポートなどを考慮し、マンフロットのビデオ
雲台を改造してアルカスイス互換化するという選択をしたわけです。


ただ、今回マンフロットのビデオ雲台を選んだのには他にも理由があります。
それは、「MVH502AH」ならアルカスイス互換化が簡単に出来そうだったからです。
これはサポートが充実しているマンフロットならではなんですが、マンフロットは
スペアパーツの簡単な図面をPDFで公開しているんです。

マンフロットのPDFへのリンク

この図面を見れば分解し易いか、
改造し易いかをある程度購入前に
見極めることが出来ます。

また、最悪改造に失敗しても部品
購入出来るという安心感もあります。

マンフロットの雲台を1つも所有して
いない私ですが、改造ベースとなる
ビデオ雲台にマンフロットを選んだ
理由の1つがこの図面でした。






Kesslerのクランプ「Kwik Release Receiver」を選んだ理由

私は最近「動画始めました」というブログを書いているのですが、今年頭にちょっと
本格的な撮影をした際、

「スチル用のアルカスイス互換クランプは動画撮影では使いづらい」
「一般的なスライド式ビデオ雲台クランプは使いづらい」

と感じたのです。
スチルと動画の違いは何かというと、機材の重さがまったく違うんです。
私は素人ながらもリグを組み、それをスチル用クランプに載せて撮影したんですが、
重い機材をスチル用アルカスイス互換クランプに載せ、ロックする動作が難しいことを
知りました。やはりスチル用ではなくビデオ用の雲台が必要なんだと実感しました。

またビデオ雲台の付いたツインレッグの三脚と、クレーンを貸してもらえたので使って
みたんです。使ってみると、クランプに対しまっすぐにプレートをスライドさせないと
クランプにプレートが入らない、プレートが抜けないことを知りました。
これは重い機材で使う時特に顕著で、クレーンをセットして使った時は大変でした。
重い機材だとまっすぐにプレートを出し入れするのが難しく、力いっぱいプレートを
クランプから抜こうと引っ張ってもまったく抜けませんでした。その時スライド式は
やめようと心に誓ったのです。

「MVH502AH」もそのスライド式クランプなんです。
私はクランプを交換するつもりなので購入しましたが、クランプ交換せずに使うなら
「MVH500AH」を買っていたと思います。「MVH500AH」はスライド式ではなく、
ドロップイン式なんです。
上手く説明されている動画があったのでご覧ください。
機材の雲台への脱着がスライド式より楽そうです。





で、このドロップイン式のアルカスイス互換クランプが、Kesslerの
Kwik Release Receiver」です。
こちらの動画が参考になりました。
ビデオ雲台に使うなら、私の知る限りこのクランプ一択だと思います。
私はB&Hから購入しました。140ドルくらいでした。








今回のアルカスイス互換化改造の手法

今回どのようにアルカスイス互換化したのかを書きたいと思います。

左の写真は元のクランプを外した「MVH502AH」。
右はドロップイン式クランプの「Kwik Release Receiver」です。
この2つを組み合わせて使いたいわけです。



ちなみに、マンフロットのビデオ雲台には「ブリッジングテクノロジーTM」なる
テクノロジーが採用されています。
TM取得しちゃってるテクノロジーですから重要に違いありません。

まずは下の写真左をご覧ください。
赤い丸で囲んだ腕部分ですが、左側の腕はオイルフルード機能だけが実装された腕に
なります。左側の腕にあるツマミを回すとヌメッと具合を調整出来ます。
対して右側の腕にはカウンターバランスのバネが内蔵されているのと、右側の腕にある
ツマミを回すことでチルト動作のロック、ロック解除をすることが出来ます。
左右の腕には別々の機能が割り当てられていて、個別にチルトするようになっています。

なので、左右の腕が互いに固定され連動することで初めてビデオ雲台本来のチルト動作が
可能になるんです。左右の腕をつなげて固定し連動させる。
これが「ブリッジングテクノロジーTM」です。
で、左右の腕を固定し連動させる役割を写真右のクランプが担っているんです。
このクランプはチルト動作を正常に機能させるうえでも重要なパーツなんです。



つまり元のクランプを取り外したとしても、代わりに左右の腕をブリッジングさせる
ものが絶対に必要なんです。結果、私が考えたのはこんな感じの手法です。

元のクランプの代わりとなるアルミ板を取り付け、そのアルミ板に新たなクランプを
取り付ける。これで左右の腕は固定連動し、かつKesslerのクランプも取り付けることが
可能になるのです。





そのアルミ板ですが、制作上最大の困難は雲台の腕に突起が複数あることです。
突起は全て削ってしまっても問題はないのですが、将来ヤフオクすることも考えて
突起を残すことにしました。
なのでこの突起を受ける側、アルミ板のほうにフライス盤でポケット加工をする必要が
あるんです。しかし、これは私のDIYスキル、機材では出来ない加工です。

とりあえず私はいつものように3D CADでモデリングし、原寸大でプリントアウトし、
現物に紙をあてがいサイズ調整を行いました。そのデータを元に図面を書き、
フライス加工をしてくれる業者さんに見積を依頼したのです。







長くなってしまうので「設計編」ということでここまでで一度切らせていただき、
次回「加工編」を書きたいと思います。

アルカスイス互換の自由雲台は海外メーカー中心に一般的になってきました。
しかしビデオ雲台はまだまだ独自クランプの雲台が一般的です。
ドロップイン式クランプを使いたいという理由もあり改造という選択を私はしました。

フライス盤の加工さえ業者さんにお願い出来てしまえば難しくはない改造です。
アルカスイス互換ビデオ雲台を使いたいと考えている方の参考になれば幸いです。



























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