残念ながら土砂降りの雨で御来光は諦めましたが、もう1つの悲願であった
「山頂でカップラーメンを食べる」
を実現することが出来ました。
バーナーを使うのは初めてだったのですが、すんなりと食べることが出来ました。
富士山の山頂でお湯を沸かし、カップラーメンを食べるうえで私が気をつけたこと、
また感想などを書いてみたいと思います。
1.バーナーを使うことが禁止されていないか確認 |
富士山に限ったことではありませんが、まずはバーナー等で火を扱うことが
禁止されていないかを確認する必要があるかと思います。
当記事執筆時の2017年9月現在、「富士山オフィシャルサイト>ルール」には
- たき火は禁止されています。
- バーナーやコンロは、火災を起こすおそれがあるため、山小屋周辺や人ごみを避け、周囲に注意して使用するようにしましょう。
2.山特有の難しさ |
2-1.持ち込める装備に限度がある |
キャンプであれば車やバイクに載せて色々な機材、食材を持ち込むことが出来ます。
しかし山で料理をする場合、調理器具や食材を背負って登山しなければならず、
「軽い」、「小さい」を優先し、「使い勝手」の妥協がどうしても必要になってきます。
とはいえ、カップラーメンを食べるだけであればお湯が沸かせさえすればOKです。
お湯を沸かすミニマムなセットが、
- ガス(燃料)
- バーナー(aka ストーブ)
- コッヘル(調理器具 aka クッカー)
の3点です。
それと、キャンプと比べ使う水もまた有限です。
料理に使う水の量が増えるほど登山の負担は増します。
カップラーメン、コーヒー等に使う分量以上の水を担いで登山することがないように、
カップラーメンに使う水の量を事前に調べておくことをお薦めします。
レギュラーサイズのカップヌードルで300ml程度、BIGサイズで400ml程度だそうです。
2-2.登山で疲れている |
「カップラーメンを食べる」が目的であれば、「お湯を沸かすのに適した調理器具」を
基準に選びます。代表的なのは
- コッヘル(汎用性に特化)
- ジェットボイル(お湯を素早く沸かすことに特化)
- ケトル(お湯を注ぐことに特化)
あたりだと思います。
私は上記の中からケトルを選択しました。
「登山で疲れている時、最も有り難みを感じるのは注ぎやすさ」と考えたからです。
何に有り難みを感じるか、重視するかというのは人それぞれです。
山でミネストローネも作りたいという方はコッヘルが最適だと思いますし、
1秒でも早く温かい食事がしたいという方はジェットボイルが最適だと思います。
私は山に登り慣れているわけではなく、高尾山でも富士山でも山頂では疲れ切って
いたので、細かい気を使わずお湯を注げるケトルを選んだわけです。
2-3.混雑時は火を使うのはマナー違反 |
使う装備が似ているのでキャンプと比べてしまうのですが、キャンプでは美味しい
料理を作ることがごく一般的です。
バーナーやコンロが使用禁止だったり、それらを使用するのがマナー違反になるような
キャンプ場には人が来ないと思います。
しかし、山では
- 火災を起こすおそれがある
- 他の登山者に危険を及ぼすおそれがある
- 登山の妨げになる
ような場合に火を使うのはマナー違反になるかと思います。
特に土日は登山者も多く、狭い山頂が混雑して火が使えないこともあるかと思います。
曜日や登頂時間をずらすことで混雑を避ける等の工夫をお薦めします。
3.富士山山頂特有の難しさ |
3-1.標高が高い |
多くの方は見聞きしたことがあると思いますが、標高が3,000m辺りを超えると電子式の
着火器具で火花が飛ばなくなり、バーナーに火を付けることが出来なくなります。
バーナーに付いている着火器具は電子式なので、石を削って火花を飛ばす昔ながらの
ライター、ファイヤースターター、マッチ等の着火器具を持って行く必要があります。
私は昔ながらのライターを持って行きました。
実際、友達の持っていた電子式のライターは山頂で火が着きませんでした。
3-2.寒い |
私が山頂に滞在したのは9月2日の07:00~08:00です。
気象庁観測の気温を後から見てみたところ、最低気温は0.5度、最高気温は3.1度でした。
バーナーは気温が一定温度以下になると、
- 火がつかない
- 火力が徐々に弱くなってくる
という状態になるそうです。
気温が5度以下になるような環境でバーナーを使うのであれば、寒冷地用ガスが安心です。
寒冷地用ガスには低い温度でも気化する液化プロパンガスが入っており、
マイナス5度近辺でも安定して使えるそうです。
※プリムスによると、温暖地用は気温5度付近で使っていると火力が弱くなるとのこと。
※SOTOによると、寒冷地用なら気温マイナス5度くらいまでは実用的とのこと。
私は寒冷地用ガスを使いましたが、実際凄まじい勢いでお湯が湧きました。
「絶対にカップラーメンが食べたい!」という方は、富士山の山頂には寒冷地用ガスを
持って行かれることをお薦めします。
ちなみに寒冷地用ガスは3割ほどお高いようです。
それと、バーナーの中には「レギュレーター」なるものを搭載したバーナーがあります。
これは気温が低い中で安定した火力を得るための機能なんだそうです。
この「レギュレーター」を搭載したバーナーは少々お高いのですが、高尾山ではなく
富士山でカップラーメンを食べるために、あったほうが安心な機能だと思います。
3-3.風が強い |
私が滞在した時間の風速は、気象庁観測結果によると最大で10m/s程度だったようです。
下の写真は火口の写真ですが、火口から水蒸気が上がっているわけではありません。
山頂がみるみるうちに雲に包まれてしまった時の写真です。
それほど強風というわけではありませんが、常に風は吹いているという感じでした。
風が吹いている中でお湯を沸かす場合、風よけ(ウィンドスクリーン)で
バーナーの周りを囲うのが一般的だと思います。
ただ、山小屋から離れた場所、人混みから離れた場所に真っ平らな地面はなかなかなく、
私のようなバーナー初心者は風よけの設置に手間取りそうだなと感じました。
風よけを使うのがベストだとは思いますが、私は
- 岩とリュックを風よけ代わりに
- 風に強いとされるバーナー
を使うことでなんら問題なくお湯を沸かすことが出来ました。
とはいえ、保険として風よけを持っていくというのが安心かなとは思います。
それと、風が強いとバーナーがゴロンと倒れてしまう可能性が出てきます。
しかも前述した通り地面が真っ平らではありません。
なのでガス缶に取り付けるスタンドは必須だと思います。
私は、
- 小さい缶(110缶)が取り付けられる
- ポキっと折れない金属製
- 折りたたんでコンパクト
という3つの条件でスタンドを探しました。
中には110缶を取り付けられないスタンドがあるのでお気をつけください。
4.お薦め機材 |
というわけで、私がお薦めするのはケトルです。「aka やかん」です。
実際カップラーメンにお湯を注ぐのがとても楽でした。
バーナーは風と寒さに強いというレビューの多かった機種にしました。
実際富士山の山頂でもなんら問題なくお湯が沸きました。
ケトルは「GSI」の「エクストリーム ティーケトル」、バーナーは「SOTO」の
「ウインドマスター SOD-310」です。
このケトルですが、必要なものが中に全て収納出来るのがお気に入りポイントです。
オレンジ色のネットは「ユニフレーム」の「ORメッシュケースM」です。
ケトルの中に収納しているのは、写真左から
・110缶が取り付けられて、金属製で折り畳み可能なガス缶用スタンド(MSR)
・寒冷地対応の110缶(SOTO SOD-710T)
・風と寒さに強い、レギュレータ搭載のバーナー(SOTO ウインドマスター SOD-310)
・同梱品の3本ゴトクより格段に使いやすいオプションの4本ゴトク(SOTO SOD-460)
・石を削って火花を飛ばす昔ながらのライター
です。
以上私が厳選した「富士山の山頂でカップラーメンを食べるための装備」でした。
色々なサイトを見漁って選んだ装備なので、とてもスタンダードな選択ではなかろうかと
思います。実際富士山の山頂でカップラーメンが食べられたので、間違った選択では
なかったと思っております。
5.最後に注意点 |
山頂で食べるお昼はカップラーメンとおにぎり1個だったとします。
仮にカップラーメンが作れなかった場合、お昼ごはんはおにぎり1個だけになります。
カップラーメンが食べられなかったことが原因で遭難するなんてことはありませんが、
せっかくの山頂お昼が切ない感じになってしまいます。
- 山頂は風が強過ぎた
- ガス缶が空だった
- CB缶(温暖地用ガス)を持ってったら火が点かなかった
- 石削るタイプのライター忘れた
- 水を忘れた、水が足らない
- 混雑し過ぎでバーナーを使えない
- お箸忘れた
なので、最悪カップラーメンが食べられないという想定もしておくべきだと思います。
ここまで読んでいただいて、
「面倒そうだから山頂カップラーメンあきらめるわ」
とお感じの方いらっしゃると思います。
よく分かります。
実際揃える装備はたくさんありますし、そこそこの出費にもなります。
ただでさえ大変な登山で、山頂でお湯を沸かすってだけで荷物が結構増えてしまいます。
しかし、そんな方に朗報です。
富士山の山頂でお湯の入ったカップラーメン買えます。
ただしお高いです。800円くらいします。
しかし、私が富士山の山頂でカップラーメンを食べるために揃えた装備は15,000円程。
賢い皆様なら計算出来るはずです。どちらが得なのか。。。
15,000円でロマンが買いたいという方、上記お薦めの機材を揃え、余計な荷物を
背負って登山し、富士山の山頂で温かいカップラーメンを食べてください。
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