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2015/11/14

物撮りライティング始めました その1 ~ 定常光 VS 瞬間光 ~

私はこれまで「難しそう」という理由でフラッシュを避けてきました。
※スピードライト等呼び名は色々ですが、私は「フラッシュ」がシックリくるので以降フラッシュと呼びます。

ところがブログ用の写真だったり、ヤフオク用の写真だったり、綺麗に物撮りをしようと
思うとどうしても部屋の蛍光灯以外にも光が欲しくなってきます。
そこで私はマグライトとか、キャンプ用のライトを使ってライティングをしていました。
しかしマグライトを片手に持ち、もう片方の手でシャッターを押すというのは大変です。


「物撮りでライティングの必要性は感じるが、フラッシュは敷居が高い。。。」

と感じていた私は色々調べて「LEDライト」を3つ購入しました。
同じように感じている方も多いと思うので、私が物撮り用ライトとしてフラッシュでは
なくLEDライトを選択した理由を書いてみたいと思います。







さて、「マグライト(懐中電灯)」と「フラッシュ」では同じ明かりでも決定的に違う
点があります。それは「定常光」なのか「瞬間光」なのかという違いです。
定常光とは懐中電灯、蛍光灯、太陽光、月光のように常に光っている明かりのことで、
瞬間光とはフラッシュのように瞬間だけ光る明かりのことです。

本日は「定常光と瞬間光の違い」を、物撮りに使う明かりという観点で、ライティング
未経験者の私が、ライティング未経験者の方向けにご説明してみたいと思います。

以下記述している内容は私がネットで仕入れた情報を私なりに整理したものです。
なので間違っている部分もあるかもしれません。
そんな感じで読んでいただければ幸いです。






瞬間光のメリットその1:手ブレ、被写体ブレがない

フラッシュが光っている時間というのは、1/1,000秒~1/40,000秒くらいなんだそうです。
長く光るほど光量は多く、短いほど少ない光量になります。

例えば真っ暗な部屋で子供が走り回っていて、フラッシュを使い子供を撮影するとします。
真っ暗なのでフラッシュの発した光だけが子供を照らす明かりです。

仮にフラッシュの閃光時間が1/5,000秒だったとします。
するとシャッタースピードが1秒だろうが10秒だろうが、撮像センサーは1/5,000秒しか光を
捉えることが出来ません。
それはつまりシャッタースピードが1/5,000秒なのと同じことになります。
シャッタースピードが1/5,000秒なら走り回っている子供もピタっと静止して写ります。
そのシャッタースピードなら当然手ブレも起きません。
真っ暗な中で写真を撮ったら手ブレ、被写体ブレともに起きそうですが、フラッシュを
使うとブレは起きないんです。

ただ、実際には真っ暗な部屋で写真なんて普通撮りません。
太陽光、月明かり、蛍光灯など、ある程度定常光がある中でフラッシュを使います。
真っ暗な部屋でフラッシュを使うとブレが起きないと書きましたが、定常光が存在する
中でフラッシュを使うとどうなるのでしょうか?


部屋の中を子供が走り回っていて、それをシャッタースピード1/10秒で撮るとします。
通常1/10秒なら手ブレしますし、被写体(動体)ブレもするでしょう。
で、フラッシュを使いつつも蛍光灯で部屋の明るさを真っ暗から少しずつ明るく、
つまり定常光を増やしていってみます。



真っ暗な中でフラッシュを使うということは、「フラッシュの光:定常光 = 100:0」
なります。この場合前述した通りブレは起きません。

ちなみに、私の部屋にはごく一般的な蛍光灯の明かりがあります。
夜に蛍光灯を着けた状態で、設定をF2.8、ISO100、シャッタースピード1/100秒にします。
その設定で写真を撮ると真っ暗な写真になります。露出がアンダー過ぎなわけです。
この状況は蛍光灯の光を撮像センサーがほとんど受光出来ていないという状況です。
つまり露出がアンダー過ぎて真っ暗な写真になる場合、それは定常光が一切ない真っ暗な
部屋で写真を撮っているのと同じことになります。
その設定でフラッシュを使った場合も「フラッシュの光:定常光 = 100:0」になり
ブレは起きません。


次に蛍光灯を点けます。仮に「フラッシュの光:定常光 = 95:5」だったとします。
シャッタースピード1/10秒なのでブレます。
ただ、フラッシュの光が定常光よりも圧倒的に強い場合、ブレはしますが目立ちません。
写真によっては「ブレてない」と見えることもあるかもしれません。

フラッシュを使うとシャッタースピードを上げても適正な露出を得ることが出来るように
なります。それだけでもブレにくくなります。
しかしフラッシュの光は大抵の定常光よりも圧倒的に大光量なので、シャッタースピードが
1/10秒だったとしてもブレの目立たない写真が撮れるのです。


次に「フラッシュの光:定常光 = 50:50」だったとします。
定常光がそれほど強いという状況は普通考えられませんが、この場合はブレが目立ちます。
写真としては残念ですが、フラッシュが発光した瞬間の像だけはクッキリ写ります。

ちなみに、シャッタースピードを1/10秒ではなく1秒で撮ったとします。
すると定常光の割合は増えます。10秒なら更に割合が増えます。
定常光を強くすることで定常光の割合は変化しますが、シャッタースピードを変えても
定常光の割合は変わるのです。


最後にフラッシュを使わず部屋の蛍光灯だけ、「フラッシュの光:定常光 = 0:100」
撮ります。これはもうブレしか写りません。よくあるブレブレの写真がこれです。
何を撮った写真なのかもよく分からないような、完全に失敗写真です。


要するに、フラッシュの光と定常光の割合がポイントです。
フラッシュの光の割合が大きいほどブレは目立ちません。
逆に定常光の割合が小さいほど、つまり暗いところでフラッシュを使うほうがブレは
目立ちません。
「より強力なフラッシュを、より暗いところで使うとブレが目立たない」のです。
そして「暗いところ」というのは実際に暗くなくてもかまいません。
露出アンダーで暗くてもOKなのです。






瞬間光のメリットその2:サクサクと撮影出来る

私の部屋で夜に物撮りをしようとすると、シャッタースピードは1秒ないと適正露出に
なりません。蛍光灯のみだとそんな明るさなんです。
そこに今回購入したLEDライトを点けます。すると1/10秒でも適正露出になります。
次にLEDライトの代わりに「RX10Ⅱ」内蔵のフラッシュを使います。
すると1/200秒でも適正露出になります。フラッシュの光量はそれほどに多いのです。

蛍光灯のみなら1秒。LEDライトを追加すると1/10秒。フラッシュなら1/200秒。
サクサクと撮影するならフラッシュです。


また、物撮りをする場合は結構絞って撮影します。被写界深度の深い写真を撮るためです。
フルフレームのカメラなら尚更絞ります。するとシャッタースピードは更に長くなります。
そんな時でもフラッシュの大光量があればシャッタースピードは短くても済むのです。


更に、私は三脚を使い物撮りをしますが、いつも2秒タイマーでシャッターを切ります。
LEDライトを追加したとしても1/10秒です。それだとシャッターを押すことでブレが起きる
可能性が十分にあります。
しかし1/200秒ならどうでしょうか。2秒タイマーを使わなくてもブレる可能性は低いと
思います。もし仕事で500枚物撮り写真を撮るとして、毎回2秒タイマーを使ったら
それだけで15分もタイマーの待ち時間になってしまうのです。






定常光のメリットその1:シミュレートが容易

さて、一眼レフのOVFはシャッタースピード、ISO感度を考慮した露出をシミュレート
出来ません。なのでファインダーで見ていた明るさと、撮れた写真の明るさは同じでは
ありません。これはフィルム時代から変わっていません。

フラッシュは撮ってみないと適切な光量かどうか分かりません。
これはOVFと似たようなもので、一眼レフユーザーの方にとってはごく当たり前のことかも
しれません。
しかし、私は軟弱ミラーレス族です。露出が完全にシミュレートされたEVFを見て撮って
います。TTLはあるものの、撮ってみないと明るさが適切か分からないフラッシュは敷居が
高いのです。

対して、定常光なら目で見た明るさが全てです。
EVF、背面液晶で撮影するならそのまんまの明るさで撮影できます。試し撮りは必要
ありません。初心者に優しいライティングなわけです。


もう一つ。
フラッシュには一般的にモデリングライトがありません。

例えば部屋の蛍光灯だけで撮影する場合。影の出方が気に入らないとか、蛍光灯の丸い
カタチが被写体に写り込んでしまうとか、撮影前に判断することが出来ます。
定常光なら好みのライティングが出来るまでいくらでも事前に調整出来ます。
しかしフラッシュではそれが出来ません。試し撮りと調整を繰り返す必要があります。
フラッシュの位置を変えたら試し撮り、それで気に入らなければまた動かして試し撮り。
これはなかなか面倒です。

業務用の、コンセントに挿して使うような大きなフラッシュ(モノブロックと呼ばれて
いるもの)には「モデリングライト」という定常光を出すLEDライトも付いています。
モデリングライトで影の出方、フラッシュの位置等をシミュレートして調整し、実際の
撮影ではフラッシュが光って撮影します。
一般的なフラッシュ(クリップオンフラッシュと呼ばれるもの)はモデリングライトの
ないものがほとんどです。なので試し撮りと調整を繰り返す必要があるのです。


スマホにしても、コンデジにしても、ミラーレスにしても、見たまんまが写真になるのが
当たり前になってしまった昨今。撮ってみないと分からないフラッシュは敷居が高いと
感じてしまうのは無理からぬことだろうと思います。
さらに、多灯ライティングになればより一層シミュレートの出来る定常光は楽なのです。






定常光のメリットその2:多灯ライティングが楽

カメラのシャッターは一瞬しか開いていません。1/200秒とか、それはもう一瞬です。
言うまでもなくフラッシュというのはシャッターが開いている一瞬の間に光る必要が
あります。なのでフラッシュはカメラから「シャッター開いたから今光って!」という
信号を受信して光るようになっているわけです。
逆に言えば、その信号を受信しないと光ることが出来ません。

カメラのホットシューに付けられていれば電気的な信号をカメラから受信して光ります。
ホットシューから取り外して光らせるにはケーブルでカメラとつなぐ必要があります。
もっとカメラから話したい場合は赤外線や2.4GHz帯電波で連動する必要があります。

自分の持っているフラッシュ、カメラはコマンダーとして使えるのか、スレーブとして
使えるのか。その設定はカメラ側でするのか、フラッシュ側でするのか等々。
未経験者にとって、カメラとフラッシュを連動させなければならないということが
フラッシュの難しさを倍増させていると思います。


対して、定常光はカメラと一切連動しません。
シャッターの開く一瞬なんて関係ありません。常に光っているのです。
カメラと連動しないというのは未経験者にとても優しいのです。

また、定常光はカメラと連動しないということで設定も楽なんです。
以下画像左はSONYのフラッシュの操作パネル。どのメーカーのフラッシュも大抵こんな
感じです。マニュアルを見なければ使い方は分かりません。

対して右が私の所有するLEDライトの操作パネルです。
電源スイッチと、明るさ、色温度を調整するツマミが1個ずつ。それだけです。







結論

未経験者に優しいのは間違いなく定常光です。
ならフラッシュは不要なのか。それは勿論否です。

用途に合ったライティングを選択するというのがやはり大前提だろうと思います。
ブログ、ヤフオク用レベルの物撮りで、かつライティング未経験者の私は定常光を
選んだというだけのことです。
もし私がブレにシビアなポートレート撮影にハマったなら、敷居は高くてもフラッシュなり、
バッテリー式のモノブロックを買うだろうと思います。

私同様ブログに載せる写真をもう少し綺麗に撮りたいとか、その程度のライティングで
あればLEDライトはオススメな機材です。


以上参考ににしていただければ幸いです。


























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