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2016/06/05

アルマイト処理をガチな業者さんにお願いしてみました。

私はDIYで色々と作ることが多いのですが、DIYでよく使うのがアルミニウムです。
アルミニウムに限ったことではありませんが、金属の光沢、ヘアライン加工された金属の
クールな印象など、金属独特の質感が好きなんです。

金属の中でもなぜアルミニウムなのかと言えば、その理由は加工のし易さです。
アルミニウムはとても柔らかく、ホームセンターで買ってきたのこぎり、ヤスリ、
ドリルなんかで金属加工素人の私でも簡単に加工が出来るんです。


しかし柔らかいというのはデメリットでもあり、簡単にスリ傷がついてしまう耐摩耗性の
低さはアルミニウムの欠点です。
また、鉄と違って錆びにくいとはいってもまったく錆びないわけではありません。
この耐摩耗性の低さ、耐腐食性への対策として、アルミニウムには「アルマイト」という
表面処理を施すのが一般的です。
しかしアルマイト処理は硫酸等ヤバめのリキッドを使ったり、電流流してイオン何たら
だったり、個人で行うにはハードルが高すぎる処理なわけです。

なので、私はネットで見つけた個人向けの小規模なアルマイト屋さんに処理をお願い
してました。しかし、従兄弟の知り合いにアルマイト屋さんの社長がいると聞き、個人の、
しかも少量のアルマイト処理をお願い出来るものか、話を伺いに訪問してきたのです。







「埼玉フェルマイト」

お伺いしたのは「埼玉フェルマイト」さんという会社で、埼玉にあるアルマイト専門の
会社さんです。写真を見ていただければお分かりになるかと思いますが、アルマイト工場
です。ガチなやつです。
DIYで作ったアルミニウムのアルマイト処理をお願い出来るようなオーラは皆無です^^;
「The 場違い」です。

ちなみに、社名にある「フェルマイト」というのは鉄に施す黒染めという表面処理で、
昔はフェルマイト処理が多かったことの名残というようなお話でした。



しかも、社長さんのお話を聞いて私はさらに場違い感が増しました。

ボーイング787に使われている部品だったり、ホンダ車のシフトノブだったり、
コシナZEISS、キヤノン等レンズ部品だったり、東京マルイのモデルガンの部品も
アルマイトしてるそうです。
中でも驚いたのは、私が使っているSONYツァイス「SEL55F18Z」の部品のアルマイトも
されていることでした。私はこのレンズを去年買って今も愛用していますが、その部品が
この会社さんでアルマイトされていたことにとても驚きました。
世界中で愛される「メイド・イン・ジャパン」を支えている工場に、東急ハンズで買った
アルミを手で削って作った部品を私は持ち込んだわけです。そりゃ場違いです。

アルマイト処理というのはB2Bの仕事でも予想外のトラブルが多い難しい処理なんだ
そうです。B2Cなら尚更なのは言うまでもありませんが、社長さんは「やらせてください」
と言ってくれました。「面白いじゃないですか」と。
社長さんはとても魅力的な方で、3時間くらい色々な話で話し込んでしまいました^^;

「Blogに『個人少量の依頼も受けてくれる会社さんです』と紹介してもいいですか?」
と聞くと大丈夫ですとおっしゃっていました。
ボーイングやエアバスに部品を収めているようなメーカー担当者の方から、私のようなDIYを
される方まで、アルマイト処理なら「埼玉フェルマイト」さんに相談されてみてください。



実際にアルマイト処理しているところを拝見させていただきました。
写真にあるような施設が工場内にもう一箇所ありました。
「こんな風にアルマイトってされるんだぁ」という感想しか出てきませんが、職人さんが
真剣な眼差しで忙しそうに動き回っているのが印象的でした。

この電解槽の硫酸の交換サイクルを1日とすることで品質の安定化を図っているとのこと。
通常1日で交換するというのはあり得ないサイクルなんだそうですが、高い寸法精度を
要求される航空機用部品等のアルマイト処理をするのに必要なことなんだそうです。



部品をハンガーみたいなものに取り付け、ハンガーごと浴槽みたいな電解槽に入れて行う
そうで、ハンガーへの取り付け、取り外し作業をされている様子の写真です。

その一角にみかんのダンボールがあり、そこに「会長」と呼ばれるネコが佇んでいました。
前社長、現会長お気に入りのネコちゃんだそうです。
普段社内にいることが少ない会長の代わりだそうです。
「埼玉フェルマイト」さんで最も驚いたことは、工場内にネコちゃんがいたことです^^







アルマイト処理完成品

さて、私がお願いしたのは「リグ」と呼ばれるカメラ関連の部品です。
カメラを持ちやすくするためのグリップに取り付ける部品です。

アルミ表面に傷があったりするとアルマイト処理が正常に出来なかったりもするそうで、
アルマイト前にサンドブラスト処理もしていただきました。
素人が作った部品のアルマイトを、ガチな工場にお願いするのは心苦しいのですが。。。



サンドブラストをかけていただいたこともあり、アルマイト処理した部品を組み上げると
市販品のような美しさです。DIYで作ったものとはとても思えません。
このまま販売出来るような、そんな仕上がりです。







それにカメラやらマイクやらバッテリーを取り付けるとこうなります。
我ながらよく出来ていると思います。自画自賛です^^;

もちろんDIYしなくてもこのようなリグを組むことは出来ますが、自分の好みに100%
合致するリグを組むことは容易ではないと思います。
カメラだけではなく、ラジコン、自転車、バイク等の部品を100%自分好みに作ることが
DIYなら出来ます。
そして、そのDIY部品を市販品のような美しい質感に出来るアルマイト処理。
最高です。







アルマイト処理の注意点

アルマイトというのはアルミニウムの表面を溶かし、その溶けた表面に塗料を化学的に
付けるというような処理なんだそうです。
事前にアルミニウムの材料の詳細、仕上がり表面の平滑度、色味等を認識共有してから
処理しないと「なんか違う」というようなことになりかねません。
認識のズレを可能な限り小さく出来るように、「埼玉フェルマイト」さんは事前の
コンサルティングを大事にされているそうです。
設計段階からプロジェクトに参加したり、営業だけではなく職人も会議に参加したり。

もし当ブログを読んで「埼玉フェルマイト」さんにアルマイトをお願いしたいという方が
いらっしゃいましたら、材料や仕上げについてじっくりと相談してください。
「素人は何も知らねぇな」というような姿勢ではなく、とても丁寧にヒアリングして
くれると思います。

最後に、「埼玉フェルマイト」さんの連絡先を記しておきます。
・埼玉フェルマイト株式会社
・電話:048-474-6817
・メール:sofutoarumaito@yahoo.co.jp
・会社概要:http://saitama-sw4c-vip.net/member/585/

「ChromeFreeのブログ見ました」と伝えると「会長」を抱っこ出来る特典が付きます。
アルマイト処理を検討中の企業、個人の皆様、是非「会長」を抱っこしに行ってみてくだい。


以上、アルマイト処理をガチな業者さんにお願いしてみたというお話でした。

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