補足記事になりますが、4Kテレビ使用時のEDID問題について書いてみます。
複数のPCで1つのディスプレイを切り替えて使う際、EDIDの送受信が滞ることに起因する
問題が発生します。しかし4KテレビをPCディスプレイとして使う場合、1台のPCで使って
いても同じような問題が発生してしまいます。
「テレビ」であること、「大画面、高解像度4K」であること。
この2つがEDIDの問題を発生しやすくしているのです。
"EDID"って? |
詳しくは調べていただければと思いますが、
Extended Display Identification Data
略してEDIDです。ディスプレイの「身分証明書」みたいなものでしょうか。
具体的にどんなデータかというと、そのディスプレイの
・メーカー名、型番
・表示可能な解像度、リフレッシュレート
などだそうです。
ディスプレイがPCに接続されるとHDMIなどのケーブルを介してディスプレイのEDIDが
PCに送信されます。PCは受信したEDIDを見てどんなディスプレイが接続されているのかを
認識します。
そして一度接続されたディスプレイのEDIDはPCに保存されます。
その際ユーザーが設定した表示設定(解像度、リフレッシュレート等)も保存されます。
それがどんな感じかと言えば、
[初顔合わせ]
Display:「初めまして。SEIKIの39インチと申します。4K、2Kで表示出来ます。」
PC:「じゃあ4Kか2Kどっちかで出力しますね。どっちで出力する?」
私:「当然4Kでお願い~」
PC:「じゃあSEIKIの39インチ君が繋がった時は4Kで表示するようにします。」
[また別の日]
Display:「ちぃ~っす。SEIKIの39インチで~す。」
PC:「毎度どうも~。いつもの4Kで出しときま~す。」
一度解像度の設定をすればPCを再起動しようが、ディスプレイがスタンバイしようが、
PCが起動すればいつだって同じ解像度で表示されるのはそのためです。
"EDID"送受信が滞るのはどんな時? |
次に、EDIDの送受信が滞るのはどんな場合なのかについて書きたいと思います。
EDIDは前述した通りHDMI等のケーブルを介してディスプレイからPCに送信されます。
なのでそのケーブルが物理的に抜けてしまうとPCはEDIDを受信することが出来ません。
また、ディスプレイの電源ケーブルが抜けて完全に電源供給が止まってしまうと
ディスプレイはEDIDを送信しなくなってしまいます。
ということを踏まえ、まずディスプレイの電源OFFです。
PCディスプレイはスタンバイ時はもちろん、電源をOFFにしてもEDIDは送信されます。
※主電源OFFが出来るディスプレイの場合、主電源OFFではEDID送信は止まると思います。
しかし、テレビの場合は同様に電源をOFFにしてしまうとEDIDは送信されません。
「その3」で書きましたがテレビにはスタンバイモードがありません。なので頻繁に
電源OFFの状態になり得ます。
つまり結構な頻度でEDID送信が止まる状況が生まれてしまうのです。
※あくまで私が所有するディスプレイ、テレビの場合の挙動です。
続いてHDMIケーブルが抜けてしまう場合です。
例えば足を引っ掛けてHDMIケーブルを抜いてしまうなんてことはそう起こりませんが、
実はHDMIケーブルが抜けてしまうということは頻発します。
正確に言うと「HDMIケーブルが抜けているのと同義の状態」ということなんですが、
それは入力切替です。
これはPCディスプレイではよく知られたことで、複数台のPCで1つのディスプレイを
切り替えて使う場合に発生します。
ディスプレイ内蔵の切替機能にしても、CPU切替器にしても、一般的な切替器はケーブルを
抜き差ししているようなものなんです。それを切替器内部で電気的にせよ機械的にせよ
行っているわけですが、非アクティブな入力はケーブル的には未接続の状態なんです。
なのでEDIDの送受信は滞ります。
これはテレビも同様で、入力1にHDDレコーダー、入力2にプレステ、入力3にPC。
そんな感じで複数接続して入力切替をすれば同様にEDID送受信は滞ります。
そしてもう一つ、チューナー入力(テレビ視聴)もテレビにはあります。
もちろんチューナー入力に切り替えてもEDID送受信は滞ります。
つまりテレビというのはPC1台で使うにしても、入力を切り替える頻度は高くなって
しまうのです。
"EDID"が滞ることで起こる問題とは? |
ではEDIDの送受信が滞るとどんな問題があるのでしょうか。
私が使っているのは「SEIKI」というメーカーの「SE39UY04」という型番のテレビです。
もちろん4Kで表示するように設定しています。なのでEDIDの送受信が正常ならPCは
「SEIKIのSE39UY04が接続されている」
↓
「いつも通り4Kで表示」
という感じで4Kの解像度でディスプレイを表示してくれます。
ではEDIDの送受信が滞るとどうなるかというと、
「どんなディスプレイが接続されているのか分からない」
↓
「どんな解像度で表示すればいいか分からない」
↓
「どんなディスプレイでも表示出来るであろう1024x768(XGA)で表示しておこう」
というわけで、EDIDの送受信が滞るとPCは「1024x768」という解像度で
ディスプレイ出力をするようになるのです。
EDIDの送受信が滞っているあいだ、つまりテレビの電源がOFFだったりするあいだですが、
その時に「1024x768」という解像度でPCがディスプレイ出力をしようが一向に構いません。
テレビは電源OFFで画面には何も映っていないからです。
電源をONにしたときに、つまりテレビ画面がONになったとき4Kで再度表示してくれれば
問題はないわけです。
ところが、画面表示の解像度が一度「1024x768」にセットされてしまうことで起きる
問題があるのです。それは、
「ウィンドウのレイアウトが1024x768にフィットされる」
という問題です。
簡単に説明しますと、例えば4Kテレビでこんな具合にブラウザを開いていたとします。
この状態でテレビの電源をOFFするなどしてEDIDの送受信が滞ると、
PCのディスプレイ出力が「1024x768(XGA)」にセットされます。
実際には画面は消えている、ないし別の入力の映像が映っているので見えませんが。
その後電源をONにすればディスプレイ出力は再度4Kにセットされますが、開いていた
ブラウザ画面は以下のように、
「場所:左上 / ウィンドウサイズ:1024x768にフィット」
されてしまいます。
「EDIDの送受信が滞る」ことに起因する問題というのがコレなんです。
開いていたアプリのウィンドウレイアウトが崩れてしまうんです。
ちなみに、上記の問題はPC起動中にEDIDの送受信が滞った場合であって、PCが電源が
OFF、スリープ中であればEDIDが途切れてもこの問題は起きません。
大画面、4Kだと問題になるのはなぜ? |
私は以前にもEDIDに関して「ごく一部の方向けおススメフリーソフト」というブログ記事を
書いているのですが、「ウィンドウのレイアウトが1024x768にフィットされる」
というのは大画面ディスプレイを使うと初めて問題になるんです。ご説明します。
24インチ、1920x1080くらいまでのディスプレイだとたいていウィンドウサイズを
最大化して使います。こんな感じに。
これが4Kディスプレイになるとこんな感じ。
なんかスゴイ無駄な表示の仕方をしていますよね。
大画面ディスプレイを使っている方はこんな風にウィンドウを最大化していないと思います。
ブラウザであればタブで表示切り替えするよりも、複数のウィンドウを開いたほうが画面を
有効に使うことが出来ます。
これは何もブラウザだけではなく、ブラウザとメールソフトとか、エクセルと音楽再生
プレーヤーとか。複数のウィンドウを同時に開くことが出来ちゃうんです。
それこそが大画面ディスプレイのメリットなんです。
しかしです。
EDIDの送受信が滞って「ウィンドウのレイアウトが1024x768にフィットされる」と
こんな風になります。これ経験されたことがあると分かるかと思いますが、すっごい
テンション下がるんです。。。
これが4K大画面テレビを使う際、EDID送受信が滞ることで起こる問題です。
解決法は? |
だいぶ長くなってしまいましたが、最後に解決方法を書いておきたいと思います。
方法としては大きくわけて2つあります。
1つは、テレビに代わりEDIDを送信し続けてくれるアダプタをテレビとPCのあいだに
挟むことです。
もう1つはウィンドウのレイアウトを記憶、再現してくれるソフトを使うことです。
まずはEDIDを内部に保持し、それをPCに送信し続けてくれるアダプタ、EDID保持器です。
本記事を書いている2014/11/29現在、4K対応を謳っているEDID保持器は多くありません。
しかも私の知る限り4K、60Hz対応の保持器はありません。あっても30Hzまでです。
私のテレビは30Hzまでしか表示出来ないので問題ありませんが、60Hzまで対応している
テレビをお使いの方は60Hz対応のEDID保持器が発売されるまでお待ちください。
私が買ったのは
「DR.HDMI」
のEDID保持器です。
この保持器自体は4K対応を謳ってはいませんが、ネット上に使えたと報告している方が
いたのと、HDMI1.4(4K/30Hz)に対応していたので試しに買ってみました。
結論を書いてしまいますと、正常にEDID保持器として機能しています。4K/30Hzで。
※あくまで私の使用している機器、環境でのことになります。試される方は自己責任で。
このEDID保持器の特徴としては、
・4K/30Hzに対応(メーカーは「HDMI1.4a」に対応と表記)
・DisplayのEDIDを記録し、記録したEDIDをDisplayに代わりPCに送信し続けてくれる
・安い(2014/11現在で1万円ほど)
の3点です。
使い方としては、4KテレビとPCのあいだにHDMIケーブルで接続し、付属のUSBケーブルを
接続して電源を供給します。
次に上下ボタンを押して「バンク8(EDID記録、送信モード)」を選択し、真ん中の
ボタン(EDID記録)を押してテレビのEDIDを記録させます。
それでこのEDID保持器からテレビと同じEDIDが常に送信されるようになります。
次にウィンドウレイアウトを記録、再現してくれるソフトですが、詳しくは過去に
書いた記事、「ごく一部の方向けおススメフリーソフト」を参考にしていただければと
思います。
以上大作になってしまいましたが、参考にしていただければと思います。
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