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2016/10/07

「α7R2」で動画始めました その7 ~ スライダー選び ~

これまで「α7R2で動画始めました」一連の記事でリグ周りついて書いてきました。
本日はスライダーについて書きたいと思います。


とはいえ、スライダーを使ったのは購入後2回、計5日ほどです。現役バリバリの素人です。
そんなスライダー素人ですが、機材選定や使いこなしのTIPS的なことを2度に分けて
書いてみたいと思います。
前半の今回はスライダーに関してです。







1."ヌメっ"と滑らかに動くスライダーを選ぶ

私が初めてスライダーを使ったのは、従兄弟に頼まれた撮影でした。
スライダーを触るのも初めてでしたが、そもそも動画撮影自体その時がほぼ初めてでした。
なので「スライダーの持ち味を活かせる構図」なんてものはよく分からず撮影していました。
しかし、スライダー素人の私でも手の感触だけですぐに分かることがありました。
それは、
「スムーズに引っかかりなく等速でスライド出来ているか否か」
ということです。
映像をチェックするまでもなく「あっ、今速度にムラがあった」ということが分かりました。

さて、"ヌメっ"と動作するモノといえばビデオ雲台が思い浮かびます。
オイルフルード機構を持つビデオ雲台がなぜ"ヌメっ"と動くのかといえば、それは
「スムーズに引っかかりなく等速でパン・チルトするため」
です。
ビデオ雲台はスムーズに回転動作すること、スライダーはスムーズに直線動作すること。
回転動作、直線動作という違いはありますが、スムーズに動作させるという目的は同じです。
つまり、
「スライダーをスムーズに動作させるにはビデオ雲台同様"ヌメっ"と動くスライダーが良い」
と私は考えたのです。


結果、私が購入した(正確に言うと従兄弟に買わせた)スライダーは

Libec ALX S8

というスライダーです。
いくつかのスライダーを店舗で触ってみて、最も"ヌメっ"と動作したのがLibecでした。

以下は「Libec ALX S8」を分解した写真です。
スライド部分には8つベアリングが付いており、このベアリングが"ヌメっ"と回転します。
そのベアリングが写真右のレールを上下から挟み込み、ガタのないスムーズな動作を可能に
しています。

このスライダーは「iFOOTAGE」のようにホイールで"ヌメっ"と感を出すとか、
edelkrone」のように半分の長さで倍スライドするとか、または電動で動作する
といった凝った機構はありません。
しかしシンプルゆえに壊れにくかったり、セッティングが楽だったり、スライダー素人には
適したスライダーだと思います。



ただ、「ALX S8」であっても等速でスライドさせるのは簡単ではありません。
ビデオ雲台を使っても等速でパン・チルトさせるのが簡単ではないのと同じです。
慣れであったり、最も綺麗にスライド出来たカットを使うといった工夫は必要です。









2.長過ぎるのも、短過ぎるのも不便

私が買ったLibecのスライダーには、

・40cm
・80cm
・120cm

という3種類の長さがあります。
これはLibecのスライダーに限ったことではなく、長さの違うバリエーションのある
スライダーがほとんどです。どの長さがいいのか迷われる方も多いと思います。
私はスライダーの右も左も分からず真ん中の80cmを購入しましたが、スライダーの長さに
関し、以下3つのことについて書きたいと思います。

・可搬性、撮影時の取り回し
・表現の幅
・三脚1本で保持出来るか否か



まず可搬性ですが、これは三脚と同じです。短いスライダーのほうが当然持ち運びは楽です。
実際に使ってみて気づいたことは撮影時の取り回しに関してです。

私は建築物の撮影だったので室内の撮影がほとんどでしたが、スライダーを周りの壁や
家具にぶつけないよう移動するのはとても神経を使いました。
特に、スポーツカーの撮影では撮影位置を変えるたびドキドキでした。
スライダーで車を傷付けたら何百万だ?みたいな^^;
カメラをスライダーから降ろし、スライダーを三脚から降ろせばスライダー単体を縦に
運べます。そうすれば取り回しは悪くありませんが、カメラをスライダーから降ろしたり、
スライダーを三脚から降ろすのが面倒なんですよね。。。



では可搬性と取り回しを考えて短いスライダーを買うのか。
それはまた別の問題が出てきます。

新幹線の窓から外を眺めると、手前の風景はビュンビュンと流れ、遠くの山はゆっくりと
流れます。スライダーで撮影すると同じように手前と奥の風景が異なる速度で流れます。
静止画を左右に動かしたり、ビデオ雲台でパンしても同じ効果を得ることは出来ません。

「手前と奥の風景が異なる速度で流れる=視点が移動する」

というのはスライダー撮影独特の効果です。




これは写真の「ボケ」と似たような原理があります。
カメラから出来るだけ近いところに前景、前景から出来るだけ遠いところに背景。
大きなボケを得るためにはカメラと前景と背景の位置関係が重要です。
これはスライダーによる「視点が移動する効果」も同じです。

しかし、カメラから近い位置に前景を置くことが出来ない場合があります。
それでも写真をボカしたい場合、より小さなF値で撮影するか、より大きなセンサーが載った
カメラで撮影します。
ではスライダーの場合どうか。
カメラから近い位置に前景を置けない場合、視点が移動する効果は小さくなります。
そういう時は移動量を増やす、つまり長いスライダーが必要になります。

スライダーの長さを決める際、前景にどれだけ近づけるのかが重要なポイントになるんです。
例えばiPhoneの紹介動画にスライダーを使いたいとします。
テーブルの上に置いたiPhoneに30cm程度まで寄って撮影するのに障害はないはずです。
であれば短いスライダーを使っても視点の移動感を表現することが可能です。
例えばレインボーブリッジを背景に車をスライダーで撮影するとします。
この場合は前景となる車からある程度離れる必要があります。
すると長いスライダーが必要になります。

どの長さが自分の撮影用途に適しているのか、スライダーの購入前にカメラを手で持って
移動して確認してみることをオススメします。
30cm動けば十分移動感が得られるのか、1m動かないと移動感を得られないのか。
それ以上移動する必要があるのであれば3軸ジンバルの方が適しているという気がします。



最後に、三脚1本でスライダーを保持出来るかどうかです。

私は最初スライダーの両端を、2本の三脚を使って保持しようと考えていました。
ところが、2本の三脚にスライダーを載せてみると想像以上に面倒だったんです。
2本の三脚の高さを合わせない水平にならないとか、三脚の設置面積が広過ぎるとか、
撮影場所の移動が面倒だったりとか。
安定感を少々犠牲にしてでも三脚は1本にすべきだと思ってしまうほどに面倒でした。
結局私は三脚1本でスライダーを保持することにしました。

しかしです。120cmのスライダーを1本の三脚で保持出来るでしょうか?
私は120cmのスライダーを使ったことがないので断言は出来ませんが、スライダーの中央を
三脚1本で保持するというのは難しいのではないかと思います。
よほどの理由があって1m以上のスライダーを使いたいという方は別ですが、基本的には
三脚1本で運用出来る長さのスライダーを購入されることを強く、強くオススメします。



Libecで言えば40cm、80cm、120cmの長さがありますが、私は真ん中の80cmを
オススメします。用途を限定すれば40cmや120cmもアリですが、汎用性があるのは
80cmだと思います。






以上あくまでスライダー素人の考えではありますが、参考にしていただければ幸いです。





2017/03/11追記---------------------------------------------------------------

スライダーの縦使用時に関するご質問をいただいたので以下画像を追記します。

2017/03/11追記---------------------------------------------------------------


























4 件のコメント :

シンドウ さんのコメント...

リーベックのスライダーを検討している者です。
参考になる記事ありがとうございます。
一つお伺いしたいのですがよろしいでしょうか。
スライダーを縦に使っているところは、雲台を2台使って組んでいるのでしょうか。
先日、横浜のCP+でメーカーのブースに立ち寄った時に、そのように説明を受けました。

aslan さんのコメント...

シンドウ様
当ブログをご覧いただきありがとうどざいます。

ご質問いただきましたスライダーの縦使用時についてですが、リーベックの方が
仰る通り2台の雲台が必要になります。
簡単な図を当記事に追記いたしました。そちらをご覧いただけますでしょうか。

三脚とスライダーは「ハーフボール」という自由雲台のように可動する部品で
接合されています。リーベック含めビデオ用の三脚では一般的です。
ハーフボールで微妙な水平を調整しますが、スライダー縦使用時のように
90°まで動かすことはハーフボールには出来ません。
なのでスライダーの縦使用時は三脚とスライダーの接合に雲台を使う必要があります。
そのためスライダー縦使用時には雲台が計2つ必要になります。

ちなみに、雲台はビデオ雲台でなくてもOKです。
私がスライダーを縦使用する時は、三脚とスライダーの接合にビデオ雲台、
スライダーとカメラの接合には小型の自由雲台を使っています。
縦使用時はスライドさせながらチルトするというようなことは難しいので、
お安い小型の自由雲台で十分です。

以上参考にしていただければ幸いです。

シンドウ さんのコメント...

asian様
早速ご回答ありがとうございます。しかも図入りで。
私も昨日、リーベックのスライダー三脚セットを注文しました。
貴ブログを参照して、80cmにしました。
縦使用をする際には、小型の自由雲台を使ってみます。

aslan さんのコメント...

シンドウ様
お返事ありがとうどざいます。

当記事を参考にしていただけたようで幸いです。
また購入おめでとうございます。
スライダー撮影楽しんでいただければと思います。