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2016/03/31

「α7R2」で動画始めました その4 ~ バッテリーマネージメント ~

「動画撮影とは、それすなわちバッテリー交換である」

と言ってしまうとさすがに大袈裟かもしれませんが、バッテリー残量確認、バッテリー交換作業、
充電作業、充電済み電池の管理など。
動画撮影中のバッテリーにまつわる煩わしさは想像以上でした。


私が撮影中使ったバッテリーは、

・「α7R2」内蔵バッテリー
・外部モニターバッテリー(中身は単3エネループ6本)
・カメラ給電用USBモバイルバッテリー(中身は単3エネループ4本)

の3つです。
それらバッテリーを運用してみて分かったことや、より良いバッテリー運用方法に関して
本日は書いてみたいと思います。







































バッテリー交換サイクルを能動的にコントロールする

私は竣工動画を計3日間くらい撮影しましたが、酷い時は1時間未満のサイクルでバッテリーの
交換を行っていました。1時間バッテリーが持たないというのは、満充電出来ていない状態の
バッテリーでも使わざるを得なかったからです。
要はバッテリーマネージメントに失敗しているわけです。
では「バッテリーマネージメントに成功する」とはどういうことなのかと考えてみますと、

・バッテリー交換のサイクルを望んだ長さにする
・バッテリーの消費と充電のバランスが取れている

の2つだと私は考えました。


まず「バッテリー交換のサイクルを望んだ長さにする」のに必要なことは、

・バッテリーの容量
・カメラ機器のバッテリー消費スピード(機器特性と使い方に依る)

を知ることです。

バッテリー容量を知り、そのバッテリーがどのくらいの時間で消費されるのかを把握します。
車で言えば燃費を知ることです。

燃料満タン(例えば50リットル)で300Km走る車があるとすれば、燃費はリッター6Kmです。
バッテリー1個(例えば10Wh)で2時間撮影出来たとすれば、消費電力は1時間あたり5Wです。
1時間あたりの消費電力が分かれば、例えば5.時間バッテリー交換なしで撮影するのに必要な
バッテリー容量がどれくらいか簡単に計算出来ます。

幸いなことに「α7R2」はUSB給電が可能です。つまり、大容量のUSBモバイルバッテリーを
繋げて撮影すれば、好きなだけ撮影時間を伸ばすことが可能なんです。
※29分という連続撮影時間を伸ばせるということではありません。


そして次に「バッテリーの消費と充電のバランスが取れている」こと。
充電に関わる要素としては、

・バッテリーの充電時間
・バッテリーの本数
・充電器の個数
・撮影スケジュール

です。
仮に「α7R2」の内蔵電池の充電が1時間で終わるバッテリーだったとします。
2時間撮影出来て1時間で充電が終わるのであれば、バッテリーは2個あれば事足ります。
仮に充電が4時間かかるのであれば、充電中も撮影するのに2つのバッテリーが必要になり、
計3つは最低バッテリーが必要になります。

充電しながら撮影出来る環境というのはなかなか特殊だと思いますが、私のように
「充電が間に合わない」という状況にならないためにも、充電にまつわる数字を把握しておくと
良いかなと思います。


バッテリー消費にしろ、充電にしろ、多くの方は経験で感覚的にコントロール出来ているんだろうと
思います。今回は動画初心者の私が具体的な数字をベースに考察してみます。

なお、色々初心者なため書いている内容が間違っていることも十分に考えられます。
その点考慮した上で読んでいただければ幸いです。






バッテリー容量

まず「α7R2」のバッテリー「NP-FW50」は、

7.2V / 1020mAh / 7.3Wh

になります。


ちなみに、各社一眼レフのバッテリーはどの位の容量なのかというと、

・キヤノン「LP-E6N」:7.2V / 1865mAh / 14Wh
・ニコン「EN-EL15」:7.0V / 1900mAh / 14Wh
・パナソニック「DMW-BLF19(GH3、GH4用)」:7.2V / 1860mAh / 14Wh

綺麗に14Whで統一されています。「α7R2」のバッテリーのほぼ倍です。
ソニーのミラーレスはバッテリー持たないとよく言われますが、「でしょうね」という感じです。


そして、外部モニターのバッテリーに私が使ったのは、1.2V、1900mAhの単3エネループ6本です。
つまり容量としては13.7Wh(1.2V x 1900mAh x 6本)です。

また、カメラへの給電に使用したUSBモバイルバッテリーはエネループを4本内蔵出来るもので、
容量としては9.12Wh(1.2V x 1,900mAh x 4本)です。
このUSBモバイルバッテリーは効果絶大で、カメラ内蔵バッテリーだけで運用した時より
倍以上の時間カメラを稼働してくれました。たった4本のエネループでです。


ちなみに「Wh(ワットアワー)」表記のないバッテリーは、電圧(V)と放電容量(mAh)を掛けることで
Wh値を算出します。
なお、モバイルバッテリーの容量に関しては1点注意が必要です。

モバイルバッテリーには一般的に「10,400mAh」というような容量の表記があります。
この場合、

5V x 10,400mAh = 52Wh

になるのかというと違うんです。
5Vではなく3.7V、つまり

3.7V x 10,400mAh = 38.5Wh

が正しいのです。
USBモバイルバッテリーなので5Vで計算したくなりますが、バッテリーのスペックとしては
内蔵されているリチウムイオン電池のスペックで計算する必要があるわけです。






カメラ機器のバッテリー消費スピード

・カメラ:2時間(内蔵バッテリーのみ)
・外部モニター:1.5時間(エネループ6本)

くらいの持ち時間だったと思います。
※ただしこれはあくまで私の使い方の場合であって、他の方が使えば状況は変わると思います。
で、さきほど計算したバッテリーの容量を上記バッテリーが持った時間で割ってやります。
するとカメラ、外部モニターが1時間に消費する容量が分かります。

・カメラ:7.3Wh ÷ 2時間 = 3.65W
・外部モニター:13.7Wh ÷ 1.5時間 = 9.1W


もしバッテリー交換サイクルを5時間にしたい場合、

3.65W x 3時間 = 10.95Wh

のモバイルバッテリーで給電しながら撮影すれば、内蔵バッテリーと合わせて5時間バッテリーが
持つ計算になります。

外部モニターの方は、

9.1Wh x 5時間 = 45.5Wh

のバッテリーで給電してやれば5時間バッテリーが持つ計算になります。
※実際には様々な電気的ロスがあるため計算通りというわけにはいきません。


大抵の外部モニターには12VのDC入力端子がありますし、「α7R2」はUSB給電が可能です。
つまり上記のように1時間に消費するW数を計算しておけば、自分の望む時間機器が動作する
バッテリーを用意するということが可能なのです。

もちろんバッテリーの容量が大きくなるほど物理的なサイズも重さも大きくなります。
カメラに取り付ける、リグに取り付けるには限度がありますが、

「バッテリー交換サイクルを能動的にコントロールする」

とはこういうことです。






バッテリーの充電時間 / バッテリーの本数 / 充電器の個数 / 撮影スケジュール

例えばアマゾンのジャングルで撮影するとか、富士登山で撮影するとか、充電出来る環境が
ない場合には大量のバッテリーを持ち込む以外に長時間撮影する手段はありません。

もう少し文明的な場所で撮影する場合。夜旅館でバッテリーを充電出来るような場合。
とりあえあえず1日フルで撮影出来るだけのバッテリーを持ち込めば撮影は滞りません。
充電器が複数個ないと充電が大変ではありますが。

さらに文明的な場所で撮影する場合。バッテリー交換したらすぐに充電が出来る環境なら、
充電が終わるまでの間つなぎで使えるバッテリーがあれば事足ります。


充電環境がない、もしくは夜まとめて充電するしかないというような場合はとてもシンプルで、
予定する撮影時間持つだけのバッテリーを持ち込めばいいのです。
問題は充電環境が整備された場所での撮影です。

私は新築の家の竣工動画を撮影しました。
竣工した家なので電気はきています。コンセントに挿せば充電も出来ます。
そこらじゅうにあるコンセントを使いたい放題でした。
しかし充電が間に合いませんでした。


まず、私の使い方だと前述した通り内蔵バッテリーで2時間撮影出来ます。
対して「α7R2」の内蔵バッテリーは充電器で充電すると4時間(250分)かかります。

表にするとこんな感じです。
実際こんな綺麗なサイクルにはならないと思いますが、最小のバッテリー本数で滞りなく
撮影するには3本バッテリーが必要です。











で、私は4本のバッテリーを撮影現場に持込ました。
滞りなく撮影出来る最小のバッテリー本数より1本多いんです。
にも関わらず充電が間に合いませんでした。
実際の充電サイクルとは異なりますが、4本のバッテリーで撮影した場合が以下です。
13時間、14時間目で使えるバッテリーがなくなっています。
上の表の3本で撮影する場合と何が違うかお分かりになるでしょうか?










違いは、バッテリーチャージャーの数です。
最初の3本で撮影している表では2つのバッテリーを同時に充電しているんです。
対して4本のバッテリーで撮影している表では2本同時に充電はしていません。
私は「α7R2」付属のバッテリーチャージャー1個しか持っていません。
なのでそれ1個を現場に持ち込んだのです。


動画素人の私は、

「たくさんバッテリーを用意しとけば問題ない」

と考えていました。
しかし、足りなかったのはバッテリーチャージャーでした。
ソニーのカメラはそれ自体が充電器としても動作します。
Eマウントのカメラを複数台お持ちの方は充電用にカメラを持ち込むことをオススメします。






結論

長々と書いてしまいましたが、

・バッテリーの消費、充電に関し、数字で把握しておくと安心で便利
・カメラ機器はUSB給電、ダミーバッテリー等、外部バッテリーで駆動時間を延長可能
・バッテリー交換の回数は少ないに越したことはない→大容量外部バッテリー利用を推奨

ということを動画撮影してみて感じました。
なので、次回は

「大容量外部バッテリー」

について書きたいと思います。


























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