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2018/04/16

「ビジネスフォン」から足を洗う その2 ~ 転送 ~

本日は「ひかり電話+市販の電話機」における「転送」機能について書きます。

結論から書いてしまいますと、「ひかり電話+市販の電話機」の組み合わせは
転送機能がとても貧弱です。
その貧弱な転送機能で事足りるか否か。
それが「ビジネスフォン」をやめられるかどうかの条件2つ目になります。







「主装置」とは?

転送の話をする前に、ビジネスフォンを使ううえで必須の機械「主装置」の説明を
まずさせていただこうと思います。
ちなみに英語だと「Main Equipment(略してME)」、日本語だとそのまま「主装置」、
またの名を「構内交換機」と呼ぶそうです。

とはいえ、「主装置」とか「交換機」と言われてもパッとイメージ出来ません。
ですが、「電話用のルーター」と言われると「あー、そういう感じの機械ね」と
イメージ出来る方も多いのではないかと思います。
ルーターを使うことで社内のパソコン同士でデータやりとり(ファイル共有)が出来、
またどのパソコンからでも外部(インターネット)と接続出来るようになります。
主装置も同じで、主装置を使うことで社内の電話機同士の通話(内線)が出来、
またどの電話機からでも外部と通話(外線)が出来るようになります。
要は外線と内線の切り替え、保留・転送などは主装置がハンドリングしているんです。

さて、家電量販店で売っている「市販の電話機」。
あれはアナログ電話回線と接続して使う電話機です。
今はコードレスが当たり前で、リビングに親機を設置、子機をキッチンに1台、
書斎に1台、子供部屋に1台、なんて感じで設置して使います。
親機1台、子機3台、計4台の電話機です。
当然親機、子機間で内線や転送も出来ますし、どの子機からでも外線通話が出来ます。
つまり、4台も電話機があればやはり主装置が必要なんです。

しかし市販の電話機を設置するのに主装置なんて設置しませんよね?
どういうことかというと、親機が主装置の機能を持っているんです。
子機で受けた電話を親機に転送するとか、子機同士で内線通話するとか、
親機が主装置として機能しているんです。
「複数の電話機を使う場合、ビジネスフォンでも市販の電話機でも主装置が必要」
ということです。

ちなみに、「ひかり電話対応ルーター」には市販のIP電話機 or SIPアプリが計5台、
そして市販のアナログ電話機 or FAXが計2台接続出来ます。
フルに接続すると以下のようなイメージです。


勘の良い方ならお気づきかと思いますが、「ひかり電話対応ルーター」は
「主装置」の機能を内蔵しています。
「ひかり電話対応ルーターにも主装置機能があるならビジネスフォン要らないね」と
思われた方いらっしゃると思います。私も最初そう思ってしまいました。
ところがそうNTTは甘くありません。
「ひかり電話対応ルーター」内蔵の主装置はとても低機能です。
対して、ビジネスフォンの主装置はとても高機能なんです。






「ひかり電話対応ルーター」の「転送」機能は使い物にならない

「ひかり電話対応ルーター」内蔵の主装置は低機能と書きました。
何がダメなのかといえば、「転送」機能がダメなんです。
というわけで、「転送」についておさらい的に説明させていただきます。
「転送」は大きく分けて2種類あり、1つは「口頭転送」、もう1つは「内線転送」です。


自宅で電話を使っていて転送する場合、大抵は別の部屋の誰かに転送すると思います。
リビングから子供部屋とか、キッチンから書斎とか。
なので自宅利用の場合は「内線転送」を多用すると思います。
対してオフィスでは「口頭転送」を多用します。同じ部署の人間が固まって仕事を
しているので、転送相手は身近にいることが多いからです。
身近にいる相手に転送するなら断然「口頭転送」が楽です。
で、ビジネスフォンには「口頭転送」機能があります。
対して「ひかり電話対応ルーターの主装置」には「口頭転送」機能がありません
自宅利用はともかく、オフィスで使うのに「口頭転送」がないのは致命的です。
※ひかり電話対応ルーターのマニュアルには「内線転送」の説明しかありません。

「口頭転送」は何も特別な転送方法ではなく、市販のアナログ電話機(の主装置)でも
当たり前に備えている機能です。しかし「ひかり電話対応ルーターの主装置」は
「口頭転送」機能を備えていません。
オフィス利用では必須となる「口頭転送」が使いたければビジネスフォンを使ってね。
NTTは甘くありません。


さて、当記事冒頭に「○○さん、2番にお電話で~す」という画像があったと思います。
オフィスで電話を「口頭転送」する場合はこんな感じで転送相手に伝えますが、
「2番に」というのが重要です。

市販のアナログ電話機にも「口頭転送」機能があると書きましたが、ビジネスフォンの
「口頭転送」と市販のアナログ電話機の「口頭転送」には大きな違いがあります。
ビジネスフォンでは複数の通話を同時に保留出来るのに対し、市販のアナログ電話機では
1つの通話を保留することしか出来ません。
市販のアナログ電話機はアナログ回線用の電話機で、複数の同時通話が出来ません。
なのでそもそも複数の通話を同時に保留する機会も必要もないんです。
対して「ひかり電話ビジネスタイプ」は最大8人まで同時に通話出来ます。
なので複数の保留が同じタイミングで起こることもあるわけです。

Aさん:「Bさんお電話で~す」
Cさん:「Dさんお電話で~す」
という転送が同時に起こったとします。
BさんはAさんが保留した通話を引き取りたいですし、DさんはCさんが保留した通話を
引き取りたいわけです。なので、Aさんが保留した通話とCさんが保留した通話を明確に
区別する必要があるんです。
そこで出てくるのが「2番に」という言葉です。
Aさん:「Bさん、1番にお電話で~す」
Cさん:「Dさん、2番にお電話で~す」
となればBさんもDさんも引き取るべき通話を引き取ることが出来ます。
簡単に言うと、保留に番号を振ってくれるのが「パーク保留」という機能です。

ひかり電話ビジネスタイプ(ビジネスフォン)は8人まで同時通話可能、ひかり電話は
2人まで同時通話可能。どちらであっても保留が重なることがあると思いますが、
「ひかり電話対応ルーターの主装置」に「パーク保留」機能はありません
対して「ビジネスフォンの主装置」には「パーク保留」機能があります。
とはいえ、「内線転送」なら保留に番号を振る必要はありません。
「口頭転送」機能を持たないひかり電話対応ルーターは「パーク保留」機能を
持っていたとしても意味がないんです。


どうでしょうか。
「ビジネスフォン+主装置」の便利さ、「市販の電話機+ひかり電話対応ルーター」の
不便さがお分かりいただけたかと思います。
オフィスでの必要性が高いであろう「口頭転送」と「パーク保留」はビジネスフォン
ならではの機能なわけです。
NTTは甘くありません。

では「口頭転送」と「パーク保留」さえ我慢したらビジネスフォンから足を洗える
のかというと、それだけではないんです。






電話別転送方法、転送可否

市販のIP電話機、スマホ(SIPアプリ)、市販のアナログ電話機(子機あり)を
ひかり電話対応ルーターに接続した場合の転送方法、転送可否について
書きたいと思います。
「ひかり電話対応ルーターの主装置」は「内線転送」が可能といっても、
これがなかなか複雑なんです。



スマホから他の電話機へ転送

私は「AGEphone」という無料SIPアプリをスマホにインストールし使っています。
※「AGEphone」はNTTが推奨するSIP(スマホを子機にする)アプリです。
このアプリで内線転送機能を使うには400円くらいのオプションを買わないと
いけないんですが、400円でスマホが電話機になるなら安いものだと思います。

普通にスマホを使いこなせる方であれば、内線転送含め普通に使えます。
アプリ上の「保留」ボタンを押し、内線で転送先を呼び出す。至って普通です。
私が実際に試したのはスマホからスマホへの転送のみですが、IP電話機へも
市販の電話機へも転送は出来ると思います。

ただし、市販のアナログ電話機(子機あり)への転送は注意が必要です。
実際に試したことはありませんが、「子機その1に転送する」といったようなことは
出来ないだろうと思います。
スマホからの転送は「ひかり電話対応ルーター内蔵の主装置」がハンドリングしますが、
アナログ電話機の親機を呼び出すか子機を呼び出すかは「アナログ電話機の主装置」が
ハンドリングします。
アナログ電話機の親機、子機を鳴らし分けるには、それらを判別する信号を付加して
内線呼び出す機能が「ひかり電話対応ルーター内蔵の主装置」に必要です。
また、「アナログ電話機の主装置」には親機、子機を判別する信号を認識して
鳴らし分ける機能が必要です。
どちらの主装置もそのような機能は持っていないと思われます。
なのでスマホからアナログ電話機に転送する場合、アナログ電話機の親機、子機全てが鳴り、受話器を取った電話機が転送を引き取るかたちになるだろうと思います。




市販の電話機から他の電話機へ転送

次に市販のアナログ電話機から転送する場合です。
転送可否という意味でいえば、例えば親機から子機その1への転送は勿論のこと、
スマホへも、IP電話機へも転送は可能だと思います。
これも実際に試したことはありませんが。

ただし親機から子機その1への転送方法と、スマホやIP電話機への転送方法は異なります。
なぜなら、親機から子機その1への転送は「アナログ電話機の主装置」がハンドリングし、
スマホやIP電話機への転送は「ひかり電話対応ルーターの主装置」がハンドリングして
いるからです。

まず親機から子機その1への転送ですが、これは「アナログ電話機の主装置」の仕様に
依存します。親機で「保留」を押し、内線で子機を呼び出すのが一般的だと思います。
また、保留された状態で子機その1で通話ボタンを押せば口頭転送になります。

対して、アナログ電話機からスマホ、IP電話機への転送は少し異なります。
アナログ電話機で「保留」を押してもスマホやIP電話機に転送することは出来ません。
なぜなら、アナログ電話機の「保留」をハンドリングしているのは「アナログ電話機の
主装置」だからです。スマホやIP電話機は「ひかり電話対応ルーターの主装置」に
ぶら下がっているので、それらに転送したい場合は「ひかり電話対応ルーターの
主装置」に「保留」を認識させる必要があります。
そのためにはアナログ電話機で「フッキング」ないし「キャッチ」ボタンを押す必要が
あります。これは「ひかり電話対応ルーターの主装置」の仕様です。
「フッキング」ないし「キャッチ」ボタンを押すことで保留、転送のハンドリングが
「ひかり電話対応ルーターの主装置」になります。
その後スマホなりIP電話機の内線番号を押すことで内線転送が可能になります。

ひかり電話対応ルーター(の主装置)直下にぶら下がっているスマホ、IP電話機への
転送方法と、アナログ電話機(の主装置)直下にぶら下がっている親機、子機への
転送方法が異なる。これはとても面倒です。やってやれないことはないと思いますが、
とても使いづらいだろうと思います。


ちなみにひかり電話は同時通話が2人までですが、例えば
  • AさんがIP電話機で通話し、同時にBさんがスマホで通話
  • AさんがIP電話機で通話し、同時にBさんがアナログ電話機の子機で通話
というような同時通話は可能ですが、
  • Aさんがアナログ電話機親機で通話し、同時にBさんがアナログ電話機子機で通話
というような同時通話は出来ません。
なぜなら、「ひかり電話対応ルーターの主装置」も「アナログ電話機の主装置」も
そのような同時通話に対応していないからです。



IP電話機から他の電話機へ転送

ビジネスフォンをやめて市販の多機能IP電話機の導入を考えている方も多いと思います。
ところが、「ひかり電話対応ルーターの主装置」とIP電話機の相性は最悪です。

まず、前述の通り「ひかり電話対応ルーターの主装置」は「フッキング」と「キャッチ」
ボタン押下で「保留」と認識されるようになっています。
なのでIP電話機の「保留」ボタンを押しても保留になるかどうかは分かりません。
私がネットで探した限りにはなりますが、ひかり電話対応ルーターの機種によって
IP電話機の「保留」ボタンで保留になったり、ならなかったりするようです。
ただ、保留出来ても電話相手に保留音が聞こえないと書かれている方もいました。

ちなみに、「フッキング」では保留にならなかったと書かれている方もいました。
また、「キャッチ」というボタンのないIP電話機も多いです。
「フッキング」で保留にならず、「キャッチ」ボタンはない。
となると保留させることが出来ないわけで、もちろん転送も出来ないことになります。

また、これも前述の通り「ひかり電話対応ルーターの主装置」にはパーク保留機能が
ありません。IP電話機がパーク保留に対応していたとしてもパーク保留は出来ません。

「保留」が出来るかどうかは人柱覚悟で試さないといけない。
仮に「保留」が出来ても口頭転送もパーク保留も出来ない。
「ひかり電話+市販のIP電話機」という選択肢はない。
そう考えておくべきだろうと私は思います。




知人の場合

結果私の知人の場合、固定電話機の重要性が低いということもあって
  • 「親機+子機3台」のアナログ電話機を設置(社員は4人なので、1人につき1台)
  • アナログ電話機の親機-子機間、子機-子機間であれば口頭転送が可能
  • 補助的に、スマホ操作に慣れた人のスマホを電話機として登録し2通話目に対応
  • 仮にスマホで2通話目を受けても、転送はせずにスマホを手渡しして通話
といった感じでも事は足りそうだということになりました。
「社員1人につきアナログ電話機の子機を1台+補助的にスマホで2通話目に対応」
で家族経営のごく小規模なオフィスであれば事は足りるのではないかと思います。






「ビジネスフォンの便利さは捨てられない」という場合

「ビジネスフォンの便利さは捨てられそうにありません」
という方も当然いらっしゃると思います。
ご安心ください。ビジネスフォンの便利さはそのままに、ビジネスフォンから足を洗う
方法はあります。

ここまで読んでいただいた方はお気づきだと思いますが、
「ビジネスフォン」の便利さは「主装置」に依存している
といっても過言ではありません。つまり、
「NTTマークの入っていないIP電話機をビジネスフォンと同等の便利さで使える主装置」
があればいいわけです。
次回はそんな主装置について書きたいと思います。


なお、当記事内容は私がネットから得た情報を元に書いています。
間違い、誤りのある可能性もあります。NTTの営業、他のブログ等の情報も参考に
判断していただくことをオススメします。






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